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ふわふわ堕天使のスルメイカ

第9章 別れの曲

私は思わずマンション前で立ち止まって、拓ちゃんの部屋がある最上階を見上げる。



「止めるなら今だけど?」



頭上でクスッと笑う光。



「…止めないよ!

ただちょっと眺めてみたかっただけ」



拓ちゃんと知り合って、初めてここへ連れて来て貰った時もこうしてこのマンションを見上げた。


その次も、その次も。

そのまたその次も。

来る度にここでこうして拓ちゃんの部屋がある階を眺めた。




それも――――今日で最後。





「行こうか?」


「うん」





私と光は拓ちゃんの部屋へ向かった。




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