夢見るシンデレラ。
第3章 *魔法使い...
「・・お金がどうしても必要なんです。」
父親の借金ー・・・
弟の進学ー・・・
正直に、全てを話してる間、蓮さんはずっと抱きしめて背中をさすってくれてた。
「私も嫌でした。体を売ることなんて、絶対に嫌だったんです。」
「・・・・」
「でも、愛実には感謝してるし、今お店に出ることで恩返しになるならって・・・」
「・・・・」
「社長には申し訳ないと思ってます。
勝手に出て行ったりして・・・。
でも、社長にはたくさん人がついてるから、私がいなくても大丈夫なんです。」
蓮に預けてた体を離すと、涙を拭って笑顔を見せた。
「社長には今日のこと内緒にしてください。
私、結構ひどいこと言って社長とお別れしてしまったので。」
「・・うん、わかった。」
『ごめんねー!
結構混んでて遅くなっちゃった・・! 』
タイミングよく戻ってきた元カノが、蓮と美月の顔を交互に見つめた。
『・・何か、あった?』
「いや。また振られた。」
「ちょ、蓮さん・・!」
『本当に蓮、彼女のことが好きなのね。
少し妬けちゃうなぁ。』
「飾らない素朴な彼女が可愛くて仕方ないんだ。」
ちゅっと美月の額にキスをして、立ち上がった蓮
美月は座ったまま、額を押さえて固まった。
「ごちそうさま。」
会計を済ませると、
「帰ろう」
美月の手を引き店を出た。