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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第1章 序章(プロローグ)

序章(プロローグ)~一枚の写真~
 北陸でも名の知れた都市(まち)の片隅に、赤煉瓦建ての瀟洒な建物が建つ。今、流行りの写真館である。その写真館で今、ある家族がいずれも緊張した面持ちでカメラに向かっていた。
 洋装が普及してきたとはいえ、まだ着物を好んで着ている人も多かったこの時代である。今、カメラの前に立つ紳士は三十歳ほど、どうにも洋装が着慣れない様子で、顔を強ばらせている。

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