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　むろん、自宅からは遠すぎて通えないため、幸は一人、家族から離れて寄宿舎に入ることになった。寄宿舎も学校ももとより女学校であり、一部の教師は男性だが、後は教職員もすべて婦人である。
　寄宿舎は全部屋、二人で一室を使用し、幸と相部屋になったのは同学年の岩田弥生という裕福な商人の娘であった。弥生は大人しすぎるところはあったものの、優しい気性で、二人はすぐに打ち解けた。学校生活もすごぶる快適であり、生来聡明な幸は、渇いた砂が水を吸い込むように、様々な知識を吸収した。