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「幸せになるんだよ」
　最後に進一郎が弱々しい微笑を浮かべ、幸に言った。肩を落として振り返りもせずに去ってゆくかつての婚約者を、幸は哀しい想いで見送った。茫然と立ちつくす幸の肩を亮平がそっと抱いた。
　幸は亮平の逞しい胸に顔を伏せて、ひとしきり泣いた。自分が幸せになるために、大勢の人を傷つけてしまった。幸は責任と現実の重さをひしひしと感じていた。