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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第5章 第二話 【めざめ】 旅立ち

 幸はふと亮平の視線が自分の身体をなめ回すように見つめているのに気づいた。ハッと我に返ると、一糸まとわぬ、あられもない姿のままであった。そんな姿で男の膝の上に座っている。そのことだけでも耐えがたい恥ずかしさで一杯なのに―。
 幸は思わず胸のふくらみを両手で隠し、身を縮めるようにして弱々しい声で言った。
「着物を―」
「まだ、そんなことを言っているのか?」
 苛立ちを隠せない様子で、亮平が怒鳴った。

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