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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第6章 第二話 【めざめ】 再会

 カフェを出てしばらく二人は歩いた。ホールの中は今宵も大勢の客で賑わっていて、熱気と人いきれで浮き立っていた。外へ出ると、冷たい夜気が火照った頬に心地よく感じられる。人通りのない夜道を幸は浩三と並んで歩いた。どうも、今夜の浩三は常とは少し違うようだ。ホールでの緊張がいまだに続いているのか、口数も少ない。幸も余計なことは言わず、黙って歩いた。ガス灯の下で、浩三がふと止まった。

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