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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第7章 第二話 【めざめ】 別離  

 いつだったか、並んで歩いていたら、通りすがりの老婦人が、お腹の子を浩三の子だと勘違いしたことがあった。
―お父さんはさぞかし待ち遠しいことでしょうねえ。
 そう言って、幸を労りながら歩く浩三に温かな眼差しを向けていった。浩三は紅くなって、しきりに照れていた。確かに、並んで歩く二人の姿は誰が見ても、似合いの夫婦に見える。幸の腹の子も浩三の子だと勘違いしてしまうほどに、しっくりと馴染んでいる。

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