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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第7章 第二話 【めざめ】 別離  

 亮平が強い力で幸の腕を引っ張る。
「いや―」
 あの夜もそうだった。亮平の家を飛び出した前夜も亮平はこうして嫌がる幸を押し倒し、荒々しく足を開かせたのだ。幸の記憶にあのときの恐怖と衝撃がありありと蘇った。
「離して、離して下さい」
 幸は、自由のきく片手でお腹を庇うようにして、懸命に抗った。

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