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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第7章 第二話 【めざめ】 別離  

 そっと腹部を撫でる。ゆっくりと撫でると、胎内で赤子が元気に動くのが伝わってくる。確かな生命の輝き。何ものにも替えがたい、限りなく愛おしく大切なものだ。この子が生まれ育ち、生きてゆく時代には、男も女もない世の中が当たり前になっているかもしれない。いや、そうなっていると良いと思わずにはおれない。
 浩三という良人を得ても、幸はもう守られるだけの存在ではいたくないと思う。

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