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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第7章 第二話 【めざめ】 別離  

 見上げた空はどこまでも涯(はて)なく蒼く澄み、いつか見た空を思い出させた。それは、一年余り前、北の故郷の小さな港を出立するときに見た空の色であった。あのときには、まさか乗っていた船が転覆するという惨事に巻き込まれるとは想像だにしていなかったけれど、幸は運命に導かれ、ここまで辿りついた。

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