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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第8章 第三話【波の音】 予感

 亮平が採ってきたのであろう魚の日干しと味噌汁に米飯のささやかなものだった。一向に箸をつけようとしない幸に、亮平が言った。
「ずっと何も食べてないんだろう。身体がもたないぞ」
 亮平の言葉に、幸は小さく首を振る。今頃、どうしているだろうかとしきりに子どもたちの顔が浮かぶ。生後半年の浩は乳を欲しがってはいまいか、幸太郎は母を恋しがりむずかってはいまいか。

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