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　弥生には兄が一人おり、現在は女学校の隣の私立大学で英語学の講師をしているとのことだった。
　闊達で明朗、少々負けず嫌いの幸と何事にも控えめで大人しやかな弥生、この二人は気性はまるで正反対だが、かえってそれが二人を無二の親友たらしめていた。今も、幸の荷物の中には弥生への土産が大切に入っている。もっとも、両親が外国にいる弥生にとっては、たとえ一般には珍しい舶来の品―チョコレート・ボンボンもさして珍しいものではないかもしれない。