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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第8章 第三話【波の音】 予感

 幸はあまりの恐怖に身体がわなないていた。浩三との夜は、あくまでも淡いものでしかない。浩三は幸の嫌がることはけしてしないし、求めようともしない。だが、ただ一度きりの亮平に抱かれたときの記憶は、幸には恐怖と嫌悪を呼び起こすものでしかなかった。初めての夜に、手込め同然のように抱かれた心の傷はあまりにも深かった。

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