テキストサイズ

空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第8章 第三話【波の音】 予感

 亮平が更に顔を近づける。幸が顔を背けようとするのを、両手で頬を包み込み、強引に自分の方に向かせた。
「俺が忘れさせてやる。亭主のことも子どものことも忘れられるほど、可愛がってやる」
 亮平の声が上擦っている。
 唇を塞がれ、幸は身体を硬直させた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ