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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第10章 第三話【波の音】 衝撃の真実

 随分とお喋りな医者もあったものだ。だが、幸はそんな医者のお喋りを皆まで聞いてはいなかった。
―養生次第では十分生きられるし、寿命も延びる―? 
 その部分だけが頭の中で繰り返し木霊(こだま)していた。だが、当の亮平は苦笑いのまま医者を見つめている。
「全く、口の悪い先生だな。それが患者に対する口のききようか」
 亮平が呆れたように肩をすくめる。小柄な医者は破顔した。

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