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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第10章 第三話【波の音】 衝撃の真実

 心地よい海風が幸の傍らを通り過ぎてゆく。だが、病人にはこの風は良くないと幸は持ってきていた羽織をそっと亮平の身体に掛けた。亮平は眠っているのか、安らかな表情で横たわっている。
 寄せては返す波の音だけが静けさの中に響く。幸はふと小さな不安が兆し、亮平に声をかけた。
「亮平さん、ここは寒いわ。身体が冷えると良くないから、もう家に帰りましょう」
 だが、亮平からのいらえはなかった。

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