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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第10章 第三話【波の音】 衝撃の真実

 きれいな顔だった。苦悶は全く見られず、安らいだ表情で、まるで今にも眼を開きそうに思えるほどだ。
 涙が後から後から堰を切ったように流れ出て、それは熱い雫となって乾いた砂を濡らす。幸はもう一度、物言わぬ亮平の身体を抱きしめた。
 幸の耳に静かな波の音が響いていた。

(第三話【波の音】おわり)

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