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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦

 オルガンの音が途切れ、子どもたちの歌声が止んだ。唄が終わったのだ。幸は手を叩くと、子どもたちの顔をひととおり眺め渡した。
「さあ、今日はこれでおしまい。あまり遅くなると、お家の人が心配しますから、今日はもう帰りましょう」
「はーい」
 子どもたちが一斉に声を揃える。
「先生、さようなら」
「女先生、また明日ね」
 子どもたちが思い思いに鞄や風呂敷を下げ、教室を出てゆく。

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