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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦

 幸の大切な存在がまた一つ、消えて無くなった。
―海の神さまは俺の大切なものばかり奪ってゆく。
 いつか亮平が言っていた言葉がありありと耳奥で蘇る。本当にそのとおりだと幸も思う。この世で起こること、人の生き死にさえ、すべては神の御心で決められ、意味のあることだと云う。だが、大切な人たちとの別離に一体、残された者はどんな意味を見いだせば良いというのだろうか。

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