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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第14章 番外編第一話「潮騒の詩」~海辺の恋~

 よほど度胸が据わっているのかもしれない。まだ若い娘らしく、打ち寄せる波とまるで戯れているかのような姿が印象的だった。
 娘が着物の裾を絡げ、白いふくらはぎをあらわにしている。それでも着物が波飛沫(なみしぶき)に濡れるであろうに、一向に頓着する風もない。無邪気に波間で戯れているその姿は、海に棲んでいるという伝説の人魚を彷彿とさせる。

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