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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第15章 番外編第一話【潮騒の詩】 月夜の契り

「俺をからかってるのか」
 亮平が怒ったような口調で言うと、途端に澪の顔が曇った。
「酷(ひど)い。そんな言い方をしなくても良いじゃない」
 まるで今にも泣き出しそうに眼を潤ませて見上げてくる。亮平は慌てて視線を逸らした。
「別に泣くほどのことでもないだろう。嫁入り前の娘が男の一人住まいをこんな時間に訪ねてくるもんじゃないぞ」

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