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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第15章 番外編第一話【潮騒の詩】 月夜の契り

 澪は亮平の腕の中で雛鳥のように震えている。亮平は震える澪を抱きしめた。
「家の庭にも咲いている。後でよく見てみると良い」
 亮平の言葉に、澪が弾かれたように顔を上げ、背後を振り返った。亮平の家の前のささやかな庭には、今、ふた色の百合が数本、鮮やかな色を見せて咲き誇っている。紅色と白のふたつの色が互いを引き立て合い、見事な対比の妙を見せていた。

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