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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第15章 番外編第一話【潮騒の詩】 月夜の契り

 亮平が言い聞かせるように言うと、澪も頷き、亮平の胸に顔を埋めた。
「私もこんな気持ちになったのは生まれて初めてよ。亮平さんじゃなくては嫌」
 あまりの愛おしさに気が狂いそうになる。亮平は澪のか細い身体を強く抱きしめた。
 再び激しい嵐に巻き込まれてゆく若い二人を、庭のふた色の百合たちが静かに見ていた。紺碧の空には銀色に輝く満月が浮かび、蒼ざめた光で海を照らしている。

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