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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第16章 番外編第一話「潮騒の詩」~海神の誓い~ 

「網元、俺は、いや、俺たちは二人とも真剣です。お嬢さんを俺に下さい」
 亮平は熊五郎にひたと眼差しを向けた。だが、その刹那、亮平の身体は後方へ吹っ飛んでいった。熊五郎が怒りに任せて、亮平を殴りつけたのだ。口中に鉄錆びた血の味がひろがる。と、突然、襖が音を立てて開いた。
「と、父さんッ。止めて」
 澪がまろぶように転がり込んできた。

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