空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第18章 番外編第二話【薔薇ものがたり】 薔薇の乙女
モデルになってくれと言われたときの、あの燃えるようなひたむきな視線、熱い視線が自分の身体に絡みつくのを感じる時、弥生はいっそのこと、この身体をその熱い情熱の焔で焼き尽くされてしまいたいとさえ思った。
だが、現実として伊右衛門の弥生を見つめる瞳は、いつも画家としてのものであって、男としてのものではない。いつしか弥生は伊右衛門を男として愛し求めるようになっていたのに、肝心の伊右衛門は弥生をモデルとしてしか見てはいなかった。
だが、現実として伊右衛門の弥生を見つめる瞳は、いつも画家としてのものであって、男としてのものではない。いつしか弥生は伊右衛門を男として愛し求めるようになっていたのに、肝心の伊右衛門は弥生をモデルとしてしか見てはいなかった。