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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第3章 第一話【空の記憶】~邂逅~

 月明かりが障子窓から差し込む部屋の中は、淡い宵闇に塗り込められている。初め寝返りを打ったのかと思った亮平がそっと澪の手を握りしめてきた時、澪は愕いた。
〝澪〟という名にも亮平の妻であることにも一向に慣れない幸は、眠れず物想いに耽る夜が続いていた。
 何故か、自分がいるべきところはここではないような気がして、そんな風に思うことが良人である亮平に申し訳なくて、澪は余計に落ち込んでいた。

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