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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第18章 番外編第二話【薔薇ものがたり】 薔薇の乙女 

 伊右衛門の熱い視線が今日もまた弥生のなめらかな肌の上を執拗に這う。弥生はそれを身体全体で感じ取りながらも、言い知れぬ哀しさを憶えていた。
―伊右衛門さんにとって、私は何?
 その想いは日毎に弥生の中で膨らんでゆく。
 熱さを孕んだ一刻の後、伊右衛門が絵筆を置いた。

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