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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第18章 番外編第二話【薔薇ものがたり】 薔薇の乙女 

 弥生は逸る心を抑えて、ホームを駆けた。この車両のどこかに伊右衛門が乗っているはずなのだ。
―お願い、どうか間に合って。
 弥生は切なく願った。
 その時。
 何両めかの窓際の席に伊右衛門の顔を見つけた。伊右衛門も気づいたらしく、愕きに眼を瞠っている。

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