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　上背もあり、かなかな逞しい体躯である。どうも光円ととくだけでこの屈強な男を寺に運び込むのは至難の業のようであった。
　そこにたまたま法事のことで打ち合わせにきた村の男が現れ、どうにか助けを借り、行き倒れを寺に運び入れることができた。女年寄りの二人住まいの尼寺にどこの者とも知れぬ男を泊めるのは物騒だと、その村人は自分の家で行き倒れを預かろうかとまで申し出てくれた。だが、光円は微笑んでその申し出を丁重に辞退した。