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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第21章 番外編第四話【轍~わだち~】

 晶は、うつむけていた顔を上げた。
「付き合っている男性(ひと)がいるの」
 思い切って口にすると、祖母はにこやかに微笑んだ。
「そうなの、晶ももうそんな年になったのねえ、私も益々おばあちゃんになるわけだ」
 が、そう言う祖母は到底七十歳をとうに過ぎているようには見えない。
 祖母はそれ以上は訊ねてこようとはせず、晶の話を待っている。そんな心遣いも晶にはこの上なく嬉しい。

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