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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第4章 第一話【空の記憶】~真実~ 

~真実~

 こうして空を眺めていると、数日前のあの嵐が嘘のようにさえ思えてくる。海から吹く風は肌を刺すように冷たいが、今日も海は穏やかに凪いでいた。
 絶え間なく打ち寄せる白い波は、外国渡りのレース模様にも似ている。幸のお気に入りだった外出用のシルクのドレスは、腕回りがたっぷりと膨らんで、襟許と、裾、袖回りに白いレースの縁取りがしてあった。

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