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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第21章 番外編第四話【轍~わだち~】

 いずれも一瞬を切り取った見事な風景画だ。そう言えば、この浜辺の絵は、祖母が暮らす海辺の風景にも似ている。だからこそ、初めて泰史からこの絵を見せられた刹那、どこかで見たことがあるような既視感を憶え、たとえようのない懐かしさを感じたのだと今更ながらに思った。
 食い入るように海辺の絵を眺める祖母に、もしかしたら祖母も今、自分と同じことを考えているのかもしれないと思う。

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