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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第21章 番外編第四話【轍~わだち~】

 今度ここに来る時、自分はどうなっているだろうかと思いながら、ゆっくりと乾いた砂を踏む。
 その朝、祖母の家の庭には、淡く色づいた紫陽花がひっそりと花開いていたことを、晶はぼんやりと思い出す。同じように見える紫陽花も昨日よりはほんの少しその色が深まっているのだろうと思った。
 祖母は静かに浜辺に立ち、いつまでも孫娘を見送った。

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