近くて遠い
第12章 善人か悪人か
「本当に…それだけ?」
そんなわけない。
まさか有川様がそんな…
「うん。あ、あと、挨拶もせずに婚約を決めてすみませんって謝ってたわ」
「………っ…」
驚きすぎて言葉が出ない。
もしやお母さんが嘘を言っているのかもと思ったが、嬉しそうに話す様子を見るに、そんなことは無さそうだった。
会ってくださったことも衝撃だったが
本当のことを言わないで下さっただけでなく、私がついた嘘を暴かないで話を合わせて下さった事に一番衝撃を受けた。
なぜ……?
どうして……?
「真希…」
戸惑い目を泳がせる私にお母さんが声をかけた。
──────横暴で人の事を考えないあなたに…誰も笑顔は向けないわっ…
昨晩有川様に言い放った言葉が私自身を締め付ける。
「素敵な人、見つけたわね…あの人なら、きっと真希は幸せになれるわ…」
嬉しそうなお母さんに涙が溢れそうになった。
分からない…
でも、ちゃんと彼に向き合ったら…
何かが変わるかも知れない。
「私、そろそろ行くね。
なんかあったらちゃんと言うんだよ?」
「えぇ。ありがとう…
有川さんにもよろしく言ってね」
ギュっと掴まれた手を私も握り返すと、私は部屋を出た。
そんなわけない。
まさか有川様がそんな…
「うん。あ、あと、挨拶もせずに婚約を決めてすみませんって謝ってたわ」
「………っ…」
驚きすぎて言葉が出ない。
もしやお母さんが嘘を言っているのかもと思ったが、嬉しそうに話す様子を見るに、そんなことは無さそうだった。
会ってくださったことも衝撃だったが
本当のことを言わないで下さっただけでなく、私がついた嘘を暴かないで話を合わせて下さった事に一番衝撃を受けた。
なぜ……?
どうして……?
「真希…」
戸惑い目を泳がせる私にお母さんが声をかけた。
──────横暴で人の事を考えないあなたに…誰も笑顔は向けないわっ…
昨晩有川様に言い放った言葉が私自身を締め付ける。
「素敵な人、見つけたわね…あの人なら、きっと真希は幸せになれるわ…」
嬉しそうなお母さんに涙が溢れそうになった。
分からない…
でも、ちゃんと彼に向き合ったら…
何かが変わるかも知れない。
「私、そろそろ行くね。
なんかあったらちゃんと言うんだよ?」
「えぇ。ありがとう…
有川さんにもよろしく言ってね」
ギュっと掴まれた手を私も握り返すと、私は部屋を出た。