近くて遠い
第2章 朝の光
「はい。」
「ありがとうね。」
再び身体を起こそうとするお母さんを支えて座らせると、お母さんはコクコクと水を飲んだ。
「昨日は、遅かったね…」
「あ……うん、ごめんね、雨とか降ってたから…」
チラと玄関に置いてある傘を眺めた。
「そうか…
ごめんね。真希にばっかり苦労かけて…」
私を気遣った優しい眼差し。
みるみる痩せていく身体。
強かったお母さんが、今触っただけで壊れてしまいそうなほど弱々しい。
「なにいってるの!私は大丈夫っ!あ、そうだ、昨日いつもより多めにお金もらったの。だから、きっとお母さんを病院に連れているわ。」
心の中でカナメさんに感謝しながら、お母さんを見た。
「ありがとうね。でもそんなに、ゴホッゴホッ……おっ、お母さんのためにお金使わなくていいんだよ?」
冷たい手が私の頬を包む。
「バカなこと言わないでっ。お母さんには元気になってもらわなくちゃっ!ね?」
私は大袈裟に笑ってみせると、お母さんはゆっくりと目を瞑って頷いた。
「じゃあ…私、買い物行って、隼人の夜ご飯作ったら、すぐにバイトに行くから。病院は明日行こう?」
そういいながら立ち上がる私の腕をお母さんがギュッと掴んだ。
「真希……」
強い眼差しが私に注がれる。
「まだあなたは若くて…
そして…、これからきっと素敵な人に出会って、素敵な人と結婚するのよ…。その……だから…ゴホッ…」
弱々しい声で何を訴えようとするお母さんの背中をさすった。
「分かってるよ。
大丈夫、夜の仕事はしてないから。約束、守ってるよ。」
私がそういうと、お母さんはホッとしたような顔をして笑った。
「私が働ければいいんだけどね…」
何もかも諦めたようなお母さんの物言いにどう答えてよいのか分からずに声が詰まった。
「ありがとうね。」
再び身体を起こそうとするお母さんを支えて座らせると、お母さんはコクコクと水を飲んだ。
「昨日は、遅かったね…」
「あ……うん、ごめんね、雨とか降ってたから…」
チラと玄関に置いてある傘を眺めた。
「そうか…
ごめんね。真希にばっかり苦労かけて…」
私を気遣った優しい眼差し。
みるみる痩せていく身体。
強かったお母さんが、今触っただけで壊れてしまいそうなほど弱々しい。
「なにいってるの!私は大丈夫っ!あ、そうだ、昨日いつもより多めにお金もらったの。だから、きっとお母さんを病院に連れているわ。」
心の中でカナメさんに感謝しながら、お母さんを見た。
「ありがとうね。でもそんなに、ゴホッゴホッ……おっ、お母さんのためにお金使わなくていいんだよ?」
冷たい手が私の頬を包む。
「バカなこと言わないでっ。お母さんには元気になってもらわなくちゃっ!ね?」
私は大袈裟に笑ってみせると、お母さんはゆっくりと目を瞑って頷いた。
「じゃあ…私、買い物行って、隼人の夜ご飯作ったら、すぐにバイトに行くから。病院は明日行こう?」
そういいながら立ち上がる私の腕をお母さんがギュッと掴んだ。
「真希……」
強い眼差しが私に注がれる。
「まだあなたは若くて…
そして…、これからきっと素敵な人に出会って、素敵な人と結婚するのよ…。その……だから…ゴホッ…」
弱々しい声で何を訴えようとするお母さんの背中をさすった。
「分かってるよ。
大丈夫、夜の仕事はしてないから。約束、守ってるよ。」
私がそういうと、お母さんはホッとしたような顔をして笑った。
「私が働ければいいんだけどね…」
何もかも諦めたようなお母さんの物言いにどう答えてよいのか分からずに声が詰まった。