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近くて遠い

第22章 距離

────────…

久しぶりの光瑠さんに自分でも驚くほど大胆なことをしてしまった…


いつも後になってから恥ずかしくてどうしていいか分からない。


あぁでも、


今こうやって抱き締めてもらってることが本当に嬉しくて…


これからはここで寝ていいんだ…




「真希…………………」



と光瑠さんが私の名を呼んだ。


肩にグッと重みがかかってそれを必死で支える。


「はい…」


光瑠さんの低い声で名前を呼ばれるのはとても心地がよい…


感じる身体の熱も

何もかもが久々で胸が高鳴る。



「………光瑠さん?」



返事をしても一向に何も言わない光瑠さんを今度は私が呼び返す。



やはり返事がなくて不思議に思うと、耳元でスースーと息の音がした。


もしかして光瑠さんっ…


大きな身体を懸命に持ち上げて、項垂れる光瑠さんの顔を覗くと、

バッチリと目を閉じて眠る光瑠さんの綺麗な寝顔が目に入った。


「っ……」


その顔はあまりに美しすぎて、羨ましくなるほどだった。


眠ってる光瑠さん初めてみたかも…


そんな事を思いながら、大きな衝撃が加わらないようゆっくりと光瑠さんの身体を横たわらせる。



細く引き締まった身体は脱力しきっていて、とても重くて寝かせるだけで一苦労だった。




仕事で疲れているのに…

悪いことしたな…


そして私は未だに濡れる自分の頬を拭った。


「おやすみなさい…」


私はそう小さく呟いて、自分の身を横たえた。


向かい合わせになって静かに眠る光瑠さんに布団を掛けると、何だかドキドキが収まらない…


背中向こう…


そう思って身体を反転させようとすると光瑠さんがんんっ…と唸りながら私をギュッと抱き締めた。


「あわぁっ…」



光瑠さんの腕の中に収められるとほのかに光瑠さんのいい香りがする。


私は自らより身体を光瑠さんに密着させるとそのままゆっくりと眠りについた…

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