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近くて遠い

第25章 符合

そこに…


そこに要さんが現れて…



「僕はそんな彼女に惹かれて、話し掛けたんです。」


─────────何してるんだ?



「そのまま、また彼女に会うためにお金を渡して」


手にギュッと握らされたたくさんのお札──


──────あー…えっと…ほら、また君に会えるってことだろ…?



「下心満載ですよね、普通にあげれば良かったんですけど…それは出来なかった。」


「それでっ…それから…?」



わななきが止まらない。


続きは聞いてはいけない


でも


続きを聞きたい…




「それから、
名前も聞かずに、傘だけを渡して…」



──────その傘やるから、ちゃんと家までそれさせよ。



いけない、

聞いてはいけない…



「そして僕は事故に遭い、」




視力を失いました────


と要さんが言った。



「はぁっ…!」



思わず私は息を飲んで口に手を当てた。






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