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たくさんの荷物を抱えながらフラフラと歩く酒田を光瑠は笑いながら見ていた。


「大人買いしすぎですよ…」


不満そうにそんなことを呟く酒田の声を聞き流しながら、光瑠はショーウィンドーの前で立ち止まった。



街灯が付く時間、きらびやかな街並みの中でも一際輝く純白のウェディングドレス。


光瑠はそれをじっと見つめながら、頭の中でそれを真希に着せた。



「社長、ニヤけてますよ。」


「っ！？」



酒田の指摘に光瑠は慌てて口元を抑えて顔を伏せた。


「脳内で真希さんに着せたでしょ…？」


「っ……ただ見てただけだ！」


楽しそうに言う酒田に図星を付かれて、光瑠は顔を紅くした。


クククッと笑う酒田の頭を光瑠すかすように軽く叩いた。


「いたっ…！ちょっ、髪型崩れるじゃないですかっ…両手塞がってるのに！」


「はっ！気持ち悪い七三をいい感じにアレンジしてやったんだ。そっちの方がお前に似合うぞ。」



無表情に放たれた光瑠の悪舌に、酒田はうぅ、と涙目になりながら、乱れた髪のまま光瑠の後を追い掛けた。




パリから帰ったら結婚式を挙げようと思っていたが、真希の母の死で年内は無理そうだなと光瑠は歩きながら思っていた。


あれから１週間が経とうとしている。


真希は、

まだ涙を流しているだろうか…