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────────…

「真希様…」


窓を見ながら、ぼんやりと立っていると、愛花ちゃんが部屋に入ってきた。



「おはよう。」



窓ガラスに写った愛花ちゃんに返事をすると、愛花ちゃんは、ゆっくり頭を下げた。


そして顔を上げると私の顔をじっと見つめた。



「どうかしたの？」


振り返ると愛花ちゃんが私に駆け寄ってきた。



「元気ですか…？」


「……」


昨日お父さんに会ってから私は、色んな事を考えていた。


地面に手をつきながら、おいおい泣いていたその寂しい背中が頭から離れない。



「元気だよ…ごめんね、心配掛けて。」


「なら良かったです…」


どことなく不安そうな愛花ちゃんの手を私は握った。


その手を愛花ちゃんが握り返す。


「真希様と真希様のお父様の関係は良くなってほしいですが…」


そう言いながら、愛花ちゃんは大きな瞳を揺らして私に向けた。


「真希様がこの家から出て行かれるのは嫌ですっ…」


「愛花ちゃん……」



この家に
私は望んで来た訳じゃない。

でも、
古畑さんや愛花ちゃんを含めたメイドさんたちはとても私に親切にしてくれた。


それに…



「出ていかないよ。」



私はそう言ってうつ向く愛花ちゃんの顔を覗き込んだ。



「だって、私の家はここだもの。
愛花ちゃんは…妹。」


ニコっと笑うと愛花ちゃんは真希様っ！と言って私に抱き付いてきた。



今日やっと光瑠さんが帰ってくる…


辛いことはたくさんあったけど、

私は光瑠さんを信じてるから…


幸せになる。絶対に。



「愛花ちゃん…」


「はいっ！」


私から離れて愛花ちゃんは涙を拭った。


光瑠さんが帰ってくるのは夜。


まだまだ時間がある。



「何だか落ち着かないから、仕事手伝っていい？」


「落ち着かない……？

あぁ！」


そう言って愛花ちゃんは何か思い出したような顔をすると、ニヤリとして私を見てきた。