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「えぇっ？！関根さんと真希さんがっ？！」



「憶測混じりだが…多分…間違いないだろうな…」



酒田の言葉に社員が目を見開く。



やはり、みんな信じられないと言った様子で固まったあと、光瑠が荒れているのを納得したように溜め息をついた。



「女性一人でこの大企業が揺れるなんて…」



確かにその通りだ…


この状況をそう表象してしまえばそうなる──



だが、真希の母の死で見せた光瑠の狼狽とパリでの真希への心配する様子を見た酒田は、光瑠を擁護するとまでは言わないにしても少し同情していた。


「……とても…大事にされていたからな…」



彼女は、それをちゃんと理解した上で社長から離れたのであろうか……


確かに、関根さんも素晴らしい人間ではあるが…



酒田はふぅと溜め息をつくと、再び渡辺を見た。



だが…



「あれっ…渡辺代表は？」



「あ、さっき、ふらぁと帰って行きましたよ。」



社員の言葉に酒田はそうか──と返事をして背もたれに寄り掛かった。


彼はタイミング悪く被害者になってしまった。


伝統を重んじるマイスター。

中でも日本酒部門は始業からやっているマイスターの主要部門。


渡辺があそこまで頭を下げるくらいだ…


どうにかならないだろうか──



酒田は天井を見ながら、再び溜め息をついていた。