近くて遠い
第36章 目覚め
「真希様はっ…
自分は亡くなられた悠月様の身代わりだったのだと、嘆いたまま、お部屋に走って行ってしまったっ……」
苦しそうな古畑に続いて愛花が再び口を開いた。
「私はご主人様は真希様自身を愛していらっしゃるはずだとっ…
そう懸命に伝えましたがっ…真希様は…
ご主人様に愛していると言われたことはないといってっ………!」
そこに現れたのが自分だったのか───
と要は愛花の話を聞きながら回顧していた。
愛の言葉に飢えていたまさにその時に、
僕が『愛してる』と伝えたから…
「………真希さんは
信じていたものを失って…
自分の想いに気付かなかっただけだ……」
要は頭を抱えて項垂れる光瑠を見ながら、切なげにそう言った。
「社長……
目を覚ましていただきたい…
でなくては、」
僕がここに来た意味がない────
要の呟きに光瑠は目を見開いた。
あぁ……
「……真希…っ…」
そう呟く光瑠を見ながら、古畑は棚の方に歩いていき、小さな箱を手に取った。
自分は亡くなられた悠月様の身代わりだったのだと、嘆いたまま、お部屋に走って行ってしまったっ……」
苦しそうな古畑に続いて愛花が再び口を開いた。
「私はご主人様は真希様自身を愛していらっしゃるはずだとっ…
そう懸命に伝えましたがっ…真希様は…
ご主人様に愛していると言われたことはないといってっ………!」
そこに現れたのが自分だったのか───
と要は愛花の話を聞きながら回顧していた。
愛の言葉に飢えていたまさにその時に、
僕が『愛してる』と伝えたから…
「………真希さんは
信じていたものを失って…
自分の想いに気付かなかっただけだ……」
要は頭を抱えて項垂れる光瑠を見ながら、切なげにそう言った。
「社長……
目を覚ましていただきたい…
でなくては、」
僕がここに来た意味がない────
要の呟きに光瑠は目を見開いた。
あぁ……
「……真希…っ…」
そう呟く光瑠を見ながら、古畑は棚の方に歩いていき、小さな箱を手に取った。