近くて遠い
第43章 上司と部下
「ですから僕は、あなたの信頼を──」
「苦しんでいた真希を救ったことか?」
言葉を遮られて、要はえっ?と聞き返した。
「それとも……
呑んだくれて周りに当たり散らしていた俺の元に来て、目を覚ますように言ったことか…?」
「…………」
要は光瑠の言葉を聞きながら、目を見開いていた。
そして光瑠はスクッと立ち上がった。
「お前は俺に謝るようなことはしてないだろ。
むしろ謝らなくてはならないのはこの俺だ…」
酒田もそんな光瑠に目を見開いて眺める。
「社長っ…」
「すまなかった…」
先ほど要がしたように
光瑠は丁寧に頭を下げた。
「………っ…」
要と酒田は言葉を失った。
しばらく頭を下げた光瑠は顔を上げて真っ直ぐに要を見つめた。
「お前にこの会社を去られては困る…」
「………っ…」
「言ったはずだ……
お前は…
この会社の『要』だと…」
要はその言葉に唇を震わせた。
辞表を出さずとも
きっと解雇されるだろうと…
もうここで仕事をすることはないのだろうと当然のことのように思っていた。
なのに
頭を下げて、引き留めてくれる光瑠の姿が目の前にある。
要はそのことに心を動かされた。
「苦しんでいた真希を救ったことか?」
言葉を遮られて、要はえっ?と聞き返した。
「それとも……
呑んだくれて周りに当たり散らしていた俺の元に来て、目を覚ますように言ったことか…?」
「…………」
要は光瑠の言葉を聞きながら、目を見開いていた。
そして光瑠はスクッと立ち上がった。
「お前は俺に謝るようなことはしてないだろ。
むしろ謝らなくてはならないのはこの俺だ…」
酒田もそんな光瑠に目を見開いて眺める。
「社長っ…」
「すまなかった…」
先ほど要がしたように
光瑠は丁寧に頭を下げた。
「………っ…」
要と酒田は言葉を失った。
しばらく頭を下げた光瑠は顔を上げて真っ直ぐに要を見つめた。
「お前にこの会社を去られては困る…」
「………っ…」
「言ったはずだ……
お前は…
この会社の『要』だと…」
要はその言葉に唇を震わせた。
辞表を出さずとも
きっと解雇されるだろうと…
もうここで仕事をすることはないのだろうと当然のことのように思っていた。
なのに
頭を下げて、引き留めてくれる光瑠の姿が目の前にある。
要はそのことに心を動かされた。