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最初で最後の恋

第19章 闇を乗り越えて

ごめんと言って蓮は頭を下げる。

確かに悲しいことだけど、あたしとは会う前のことだから。


「でも…あいつも可哀想な奴なんだ。

あいつは俺の唯一の理解者だった。同じ痛みを抱えていたから」


「同じ、痛み…?」


「早苗のことはあんま言えないけど、はっきり言って高校の時付き合ってたのは、あいつに脅されてたから」



脅されていた?
どういうことだろう…


頭の中ではてなが浮かぶ。


それを察した蓮は静かに話し始めた。


「高校に入った俺はさ、母さんのことが憎くて憎くて。それでやけになって色んな女と寝てた。

その中に早苗がいたんだ。

早苗も心に傷を負ってて、汚いあたしでも抱いてくれる?って言ってきた。


そこで俺、あいつの過去を聞いてさ」


早苗さんの、過去。

知りたいけど、蓮は言えないんだろう。
自分も同じように人に言いたくない痛みを感じていたから。

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