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最初で最後の恋

第19章 闇を乗り越えて

すると、蓮があたしから離れじっと見つめてきた。

その瞳がなんだか真剣で。


思わず見とれてしまう。


「なにもしないこと、かな」


蓮の意外な言葉に、あたしは首を傾げた。


「なにも、しない?」


「ああ。無理に早苗にありきたりな言葉で慰めたって、なんの意味もないし伝わらない。

それに…澪のそのままの姿を見ていれば、あいつもそのうち気がつくと思う。




恋することの、本当の喜び」


恋することの、本当の喜び……


本当に…

あたしは蓮のおかげで、短い期間で嬉しいことも悲しいことも全部知った。


涙を流して苦しんだこともあった。


ドキドキするくらい緊張して、誰かを愛しいと感じた。



それもこれも、ぜーんぶ蓮のおかげ。

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