テキストサイズ

最初で最後の恋

第4章 動き始めた時間

あたしはというと、必死に応援する香奈の隣でぼーっと試合を見ていた。


スポーツとは縁がないあたし。

中学からずーっと吹奏楽部だったから、試合のルールとかもあんまりわからない。


でも周りの白熱した雰囲気を一緒に味わうのは嫌いじゃないし、むしろわくわくするから楽しいって思う。


「頑張れーっ」


なんとなく声を出して応援したそのときだった。


急に後ろから誰かに腕を掴まれ、無理やり振り向かされた。


握られた腕の感触に、1週間前のことを思い出す。あのときも、こんな風に腕を掴まれた。

まさか…そう思って見た先にいたのは。





紛れもなくあの日の彼だった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ