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最初で最後の恋

第22章 現実と向き合う

ありがとうの気持ちの代わりに、あたしは握っている蓮の手に力をこめた。


それに気づいたのか、蓮もその手を握り返してくれる。

些細なことだけど、それがまた嬉しくて。



蓮はひとりぼっちなんかじゃないよ。



あなたが苦しいときはあたしが手を握っているから。だから、安心していいよ。


心の中であたしは呟いていた。



「そういえば、あと1ヶ月くらいで夏休みか」


蓮の何気ない言葉に、あたしもはっと思い出す。


「そっか、もう夏になるんだね」


春、蓮と出会って。



夏は、どんな季節になるんだろう。

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