テキストサイズ

最初で最後の恋

第9章 突きつけられた現実

「香奈。

お前が澪ちゃんに言ったんだろう?嫌なことも受け入れて乗り越えるべきだって。

だったら伝えよう。いや、伝えるべきだ。俺もいるから」


「透……でも、それを知ったら澪がどうなるか……

あの子我慢強いから、きっとひとりで抱え込むに決まってるっ……」


あたしの手を包み込んでいる透の手に、あたしの涙が落ちる。


伝えることが怖いんじゃない。


本当のことを知った澪が、どうなってしまうのかが怖いんだ。


今まで恋愛をしたことない澪が、初めて本気で恋をした。その初恋がこんな残酷な形で壊れてしまったら。


あの子は二度と、恋をしなくなるかもしれない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ