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詩集

第8章 獣

カラダに本能は正直で、かれにごちそうを用意した

獣にふさわしい、獲物のごちそう

胸の刺激に本能が、ごほうびをわたしにくれる

いたくないように、魔法のシロップ

そのにおいに、獣が気がつく

おいしそうなにおいにつられて、獣がきばを突き立てた

ずぶずぶと獣のきばが、わたしの中を貫いていく

その感覚は、本能からの一番のごほうび

獣が喜ぶ獲物のばしょ

獣が一番おくに牙を立てると、本能が声にならない声を上げた

理性も本能もすべてを超えて、わたしは獣の奴隷になった

ひくひくと弱くけいれんするそれは、入ってきた異物を逃がすまいと締め上げる

その感触は背中を駆け上がり、獲物のわたしは全身で受け止める

呼吸があらい

心臓が高鳴って

意識が真っ白になる

お腹の中で、溶けていく

ちゅ、と唇に柔らかく、獣が愛のキスをした

息が止まって

腰から大きな波が来る

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