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詩集

第19章 托卵

腰を浮かせてペニスを私から引き抜くと

先端はたっぷりと精液が溜まっていた

予想以上に膨らんだそれは次の射精に耐えられないだろう

ここからは体位を変えて

私がベッドに横たわる

受精するための

受け身の体位

彼のペニスが出たり入ったりを繰り返す

奥に

入り口に

奥に

入り口に

私の中を捲くって

擦って

二人で共有する

独り善がりの快楽

先端にずる剥けた粘膜の感覚と

手から伝わる脂肪のやわらかい感触

耳に入る高い喘ぎ声

五感を使って、彼の快楽を導いていく

下から抉られる臓器の感触

先端からピリピリと伝わる甘い乳房の感触

それを統合して、官能という鳴き声を出す私

あっ、あっ、あっ

単調な刺激が彼をどんどんと追い詰めていく

そっと彼の背中に手を回して

彼を抱きすくめた瞬間

精液に侵食されてもろくなったコンドームの裂け目から

彼の先端が直に私の中に飛び出した

そのまま、施術の直前に塗布された

受精液のなかに、飛び込んでいく

射精

それに合わせて

私も絶頂へと上り詰める

私の意思によらない

機械が与える絶頂

ずんと重たい振動と

かーっとアルコールを摂取したときのような熱い感触が

お尻の中から出た刺激は

子宮の中を駆け巡って、命を与える痙攣を起こす

まるで乗り物酔いになったかのような感覚

カラダと頭の刺激が一致していない

ひどいズレ

子宮が膣の上に乗っかって

ペニスをきつく抱きすくめる

愛しい女性の卵子に精子を導くため

私はそれを

掻き回された頭で見守るしかない

体の持ち主に反して子宮が勝手に行う

自慰行為

亀頭という男性器に対して行う擦り付けオナニー

苦痛に歪む顔を見られないように

私はきつく、彼を抱きしめた

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